叡福寺清子

ふたりのマエストロの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ふたりのマエストロ(2022年製作の映画)
3.2
ポスターを観て,これネタバレじゃんと思ったら本当のそうだったのでビックリした三遊亭呼延灼です.こんばんわ.いつもの感じで、本邦配給会社がトチ狂ったかと思ったら,全世界的に同じ図柄のポスターだったので,そこはそれでもいいのかと思った次第です.

で、本作の主眼は「不仲だった父親と息子が,理解し合って檜舞台に立つ」って感動物語なのですが,生憎毒親を持った私からすれば,あの親子は不仲でもなんでもなくって「喧嘩するほど仲がいい」の範疇じゃんと思ってしまいました.あの程度のわだかまりなんて極々一般的はお話でございましょう.それを感動物語にまで昇華させるなんて,随分とお行儀のよろしい作品じゃございませんかしら.この感覚に既視感あるなと思ったら,最近、足繁く通うようになったショットバー(もちろん私はノンアルコールカクテル)に入ってきた上品そうな御婦人の、「こんな路地裏入るんでドキドキしちゃった」という言葉でした.いやお向かいにビジネスホテルあるし,脳髄の代わりにガーベラでも詰まってんのかと思った次第です.

それはともかく,かつては名声を誇っていたけど,今は落ちぶれて小さな街の楽団で指揮をとっていた父親の元にスカラ座の話が・・・ぐらいの高低差がないと私は感動しないのですよ,困ったことに.あとスカラ座といえば南街スカラ座を思い出すお年頃なので,スカラ座で指揮を取ることの重大さが理解できなかったのも残念でした.まさか,NHKホールでの独演会よか凄いってことはないでしょうねぇ.