なつを

瞳をとじてのなつをのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
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22年前に、映画の撮影中に失踪した人気俳優。元映画監督は彼の失踪事件を取り上げるテレビ番組の取材のため、思い出を巡るように過去を追う旅にでる。そんな彼の元に、俳優に似た男がいるとの情報が…

名作『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ監督31年ぶりの長編新作。
叙情的に描かれる、前半の過去を追う旅。そして後半での再会が物語る、親友との失った時間と、それを思い起こさせる『映画』の力。
映画は物語なだけではなく、その俳優自身の記憶を切り取った記録であり、彼が演じた役もまた、彼自身を構成する要素の一つである。そしてフィルムを回せば、いつだってあの頃に戻れる。

監督自身の半生と過去作品のセルフオマージュを詰め込み、監督が味わい信じた映画の歴史と力を余す事なく表現した、集大成的な作品。
人物の表情にフォーカスした、言葉少なくも重厚感のあるショットの数々が余り美しく、溢れんばかりの情感に圧倒された。

Fan’s Voice試写にて
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