社長

瞳をとじての社長のネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

奥行きの平坦さ、カット割ったら既に座ってるアナ・トレントの出し方の素っ気なさなど、禁欲的な画面が続き、老監督の吐露も相まって、途中まで余計な作品撮ったのではと感じずにはいられなかったが、失踪するホセ・コロナドを想像したシークエンスが、劇中の現実と映画のあわいで異質に息づいていた。
アナが黒々とした戸口から小屋を訪れるとき、その両者が時間を超えて通じるように画面が活気付く。「ソイ・アナ」にずるいとは思いつつ落涙を禁じ得ない。
時を隔て切り返される、上映される映画の役者のまなざし、いま見ている観客のまなざし。そのつなぎを経て昔の記憶がよみがえるかは定かではないが、瞳がとじられた後、1フレーム前に覚えていた過去を残像として黒いスクリーンに感じた。その間隙は永遠に続くかのように厳かだ。しかし、記憶を頼りにして再生されるのもまた映画だ。
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