瞳をとじてのトマトのネタバレレビュー・内容・結末

作品内のキャラクターがこちらを見つめる行為、それからは彼ら自身の所有する感情、状況を、スクリーンという薄くも硬く、絶対な隔たりからその全てを投げ、訴えてくるような緊張感を感じざるを得ない。

エリセは初めてだけど、確かに今作は受け取るのも平易な表現であったのだと思う。しかしそれは思うに、映画に対する真意を観客に投げなければならない、これは難解なんかの表現で理解者を疎にするべきでない故の分かりやすさではないか。リュミエール、ドライヤー他、明らかな作品内の"映画"作家への尊敬から見てとれるよう、この恣意的な分かりやすさはそういことなんじゃないかと思った。

彼女が言う、あなたはまだ映画作家だ。と

これはたぶん、万人に受け止められるべき映画
映画を通じ変わった人間、それも客席に座った人間を映し、潔くエンドロールへと放ったそれは、いまここで客席に座り、茫然とスクリーンに釘付けになった私たちへ直接的な効果を確実にもたらした。