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瞳をとじてのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.8
ビクトル・エリセの31年振りの新作が、まさかの男同士の友情物語・・・
しかも人生も終焉を迎えた初老同士とは・・・
この映画は人生そのものやな〜
そして記憶の物語や。
映画の撮影中に突然、失踪したフリオ。
彼を探す監督であり親友のミゲル。
ようやく見つかったフリオは記憶を喪失していた・・・
ミゲルはフリオの記憶を取り戻そうとする・・・

人は誰もが過去の記憶や体験で自身を確認している。
そして、フリオは過去の記憶を無くす事で感情をも失ってる。
ミゲルはフリオの記憶を取り戻す事で彼の魂を取り戻そうとしている。
また二人の未完の物語(映画)を完成させる事でミゲル自身のやり残した人生を再び輝かせようとする✨

そして、映画は記憶の「箱」や🎁
その映画を思う時には映画館の雰囲気から街の情景、自分の服装や聴いてた音楽まで様々な記憶が呼び覚まされる。
そして31年振りにスクリーンに蘇るアナは「ミツバチのささやき」を見た僕たち観客の共通の記憶の中で再び輝きだす💕

また芸術を前にした時に僕たちは、その時の芸術家の記憶を体験する。
美術館でブリューゲルのキャンバスを前にした時・・・
マティスのキャンバスを前にした瞬間。
ブリューゲルの時代に生き。
マティスと同じ空気を吸っている・・・

ラストシーンには、もう息を呑むしか無い・・・
映画を通じてフリオの魂に再び熱いものが走って確実に震えてたやろ・・・
そしてミゲルも映画=人生に決着を付けた・・・

僕の魂は震えてた・・・
何とも言えない大きな感情に満たされた🥹

壮大な人生の物語を前にして言葉は無くてもエエ。
只々、ビクトル・エリセの人に対する優しい眼差しと真摯で強い想いに心を打たれたナ〜❤️
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