モンブラン

瞳をとじてのモンブランのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.5
初エリセ監督。というか今作までそもそも存じ上げずなライト層。
静かにゆったり進む贅沢な余白にただただ好きだなぁ‥と作品の世界に浸る。中高年の「人生」と「人」の物語をこれだけ飽きさせずに見入れる力。
多分テーマや登場人物の心情を慮れる大人になったから伝わってくる部分も多くて、そこも含め今、出会えて良かった。
孤独な初老を美化する事はなく、でも誰一人押し付ける事無く思い遣る眼差し、青い壁のベンチ、海の存在感、雨、そして「過去」の記憶・記録・古びた思い出の品・感情。
あのサッカーゴール、ラストの花瓶の水を‥は息を呑んだ。一人で、愛犬と、友人と並んだ佇まい、顔半分の陰‥本当に印象的

ラストの眼はきっと希望。そしてタイトルのその後に想いを馳せる。見返す度にゆっくり心に拡がっていく作品なのだと思う。

撮影技師の友人が出てきた時、こんな友達良いなぁ、そしてこの友人がいる主人公のお話か!と早々に監督のセンスを感じました。水兵式結びにあぁっ‥!となりそこからもう涙。