かって映画監督だった男が歩む、過去への旅路。記憶への彷徨い。
31年ぶりですか。阪神タイガースの38年ぶり日本一よりは短いけど、すごい歳月。それでも新作を撮るというのはどんな心持ちなのかなんて、私などには想像すらできないですが、何か心を突き動かすものがあったんでしょうね。
実は、告白しておくと前作「マルメロの陽光」にはハマらなかったんです。あの作品も「ミツバチのささやき」や「エル・スール」から10年ぐらい経ってたのですが、あの神2作の呪縛があったのか、期待し過ぎたのか、評価は高かったと思うのですが、ちょっとガッカリしたのを覚えています。
今回はさすがにあの神2作から40年くらい経ってるんで呪縛は解かれたとは思うので、普通に観られたのですが、なんとあの方が出てきて、あのセリフを口ずさんだものだから、思い出さざるを得ないという^^; それもわざわざあのセリフを言わせたにしては存在が薄い。もっと絡んで欲しかった。
前置きが長くなり失礼しました。映画は、アンゲロプロスの様に格調高く、トルナトーレの様に見やすかったです。
失踪した俳優は22年前。この監督の作品は「時の流れ」を感じざるを得ないですね。彼を探す旅は、彼の失踪により完成出来なかった作品を最後に映画を撮ってなかった監督自身の過去への旅でもありました。それは長く封印していた監督の「映画」への想いを少しずつ氷解していくようです。
瞳をとじて見えた世界は、、?
やはり、エリセ監督自身を重ねない訳にはいかないですね。それはまるで映画そのものが人生と言わんばかりに、、。しっかりと(どこまで正確に受け取れたかは自信ないですが)一緒にお供させて頂きました。