このレビューはネタバレを含みます
エリセの長編新作を2024年に見ることになるとは思わなかった、やたら難解と言われていたが、シンプルな映画。主人公は、エリセ本人に背格好を寄せてるのだと思うし、流石に話は違うが自伝的というか、老いと追憶というのがテーマだろう、そこから過去を巡るたびから溢れてくる映画の記憶。シネフィルが喜びそうなセレクトだけれど、リュミエールの列車の到着に、フォードのリオブラボーの歌。
ストーリーというストーリーは明らかに緩く眠気を誘うあたりに、老いを感じなくもない。ただ小津的な交わらない視線を多用しながら、交わらない視線の先に映画があり、あの顔を撮りたかった言わんばかりのラストショットは流石だった。