このレビューはネタバレを含みます
贅沢な160分
(パンフより)
これまでの作品といちばん感触が違ったのが、過去との向き合い方ですね。これまでの作品でも過去に秘密を秘めた大人が必ず描かれていました。その場合過去の秘密は、あくまで子どもの目線で推察される「触れられない遠い過去」だったわけですが、『瞳をとじて』ではアナ・トレントも50歳を超えていて、いわば聖域のような場所から眺める子どもはもういない。代わって、すでに老い始めた人たちがその過去と向き合わざるを得なくなる感覚が強くありました。これまでの作品のように、過去を過去のままにしておかないぞという意志を感じたというか。
『ミツバチのささやき』にせよ『エル・スール』にせよ、映画というのは人生に対して良くも悪くも大きな影響を与えてしまうほどの力があるものなんだという視点をすごく感じる。
24.02.13
ユナイテッド・シネマウニクス南古谷