こんなに感想を言語化する作品も珍しい。
公開から3週間たっても劇場は満席だった。
最近、コアな観客が集う作品とライトな客層が好む作品の二極化が激しい印象。
失踪した俳優を巡って、彼を撮っていた映画監督や彼の娘、元恋人など様々な人生が交錯する物語。
冒頭から作品内映画が何の説明もなく、たちまち物語の中に引き込まれる。
その後、現代の「あの人は今」的なテレビ番組の収録を通して、主人公(映画監督)の現状とこの物語の方向性を知ることになる。
つまり、なぜ彼は突然失踪したのか。
そして(生きていたとしたら)どこで何をしているのか。
それがこの物語の方向性であるし、ちゃんと旅の終わりまで見せてくれる。
奇をてらうような演出はなく、堅実な会話と演技の作品という印象。
しかし、飽きることなく約3時間の旅に付き合うことができるのは、役者力とシナリオの力量だと感じた。
しかし、それ以上に心を震わせるような映画体験は、個人的には感じなかった。
これは映画または人生の経験値によって大きく変わるところだと思う。
しかし、見て損はない。
10年後20年後にふと思い出すかもしれない。