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瞳をとじてのVisorRobotのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.4
シネフィルがみんな事件だといって騒いでいたヴィクトルエリセの31年ぶりの監督作。眠かった。

『ミツバチのささやき』を俺は見ていない。ヴィクトルエリセ初めてだ。

映画を見た後に、町山智弘のYouTubeの感想なども見て、洋画ドットコムみたいなサイトの解説も見てある程度背景(「私はアナ」やフランシスコ・フランコによる独裁政治、エリセが31年間長編映画を撮れなかった件)も踏まえたが、それにしても眠かった。

同じくらいの長さで『ボーは恐れている』も眠くて、中盤で実際に寝てしまったのだが、こちらは何とか耐えたもののまだ明るい時間に眠気を覚えたという時点でより催眠効果は高かったと思う。

signmagpodcastで映画評論家の木津毅が「ずっと面白い」と話していたが、俺は眠くなったぞ。

でも、その言葉の意味も分からないでもない。

お話としてよくできているし、ダサい部分や失敗している部分、いかにもな部分は一つもないからだ。

海辺ですごす元映画監督の主人公がTV局の取材に応じ、海辺で犬と仲間と暮らし、歌をときにうたい、古本市を訪れ、という一連が客観というより主観で描かれていて、「こんな生活素敵でしょ」「こいつかっこいいだろ」といった広告的いやらしさがない。後半は実は〇〇が生きていたというサプライズも用意されていて、ただ地味なだけの話ではないのだ。

だから眠くなったのは、主人公の内面が静かすぎたんだろうなあと思う。『瞳を閉じて』というと平井堅が思い浮かぶし、同時に「瞳じゃなくて瞼だろ」というツッコミも浮かぶわけだが、この場合は誤用ではなく目を開いていても心のシャッターを閉じるフリオという人物のことを指しており、映画という【窓】がそれを開けるのか、というクライマックスに向かっていくのだと思った。

まあ、邦題だから気の回しすぎであろう。
※原題「Cerrar los ojos」は目を閉じて。
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