Nn

瞳をとじてのNnのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.4
映画として完璧すぎると思わされた作品だった。

覚えていることと、思い出すことは違う。
人は皆全てのことを覚えていて、でも、ただ思い出せないだけなんだ。

監督のミゼルと、編集のマックス、2人が映画のこととなると子どものように必死で。あぁ、監督は本当に映画を愛しているんだなぁと伝わってきたし。
「たかが映画一本で奇跡が起きるのか?」という台詞には監督自身の葛藤も垣間見えた。

歯抜けになった作中の映画と、フリオのこれまでが重なるような仕組みづくり、愛する子供に残すものが同じだったり、親友に感情移入した時に靴を脱ぐ想像をしたり、ちゃんと2人は魂で繋がっているんだと暗喩的に描写するさまにグッとくる以外他ならなかった。
彼らは一緒に映画を作っていたとしても、漆喰を一緒に塗っていたとしても、変わらない何かが絶対にそこにはある。そう思わされたあのシーンはたまらないなぁ。
そして、2人は映画から離れても、出会いのきっかけであった海に心地よさを感じて、お互いに違う時間を過ごしながらも海の音を聞きながら生活していたのだ。

そしていつでも精霊に会えるあのおまじないに、ここでまた出会うとは。あのシーンは思い出すたびに泣きそうになる。私にも認知症が進行してしまった祖母がいるが、なんとなくあんな風なおまじないを自然としていて、いつだって会えるような気がしている。

エリセの作品に出てくる動物ってなんかほんと愛くるしいけどどうやって撮影してるんだ。
寝てるとこに娘とはいえ勝手に入るん怖いやろってそこだけ気になったわ。
Nn

Nn