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瞳をとじてのMovieloverのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0
ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの長編新作。エリセは監督デビューから本作までの54年間で長編映画はたったの4本しか撮っていない。とにかく長いスパンで映画を作る人。1940年生まれなので今年84歳になられる。年齢的にも、長編映画はこの作品が最後になるかもしれない。そう考えるとまさに集大成といえる。

元映画監督のミゲルと、撮影中に失踪した元人気俳優で友人のフリオ。この2人の記憶を呼び覚ますお話。ミゲルとエリセが重なるし、『ミツバチのささやき』のアナ役、アナ・トレントが本作でも同じ名前でフリオの娘役で出演している。そして「私はアナよ(Soy Ana)」という台詞もそのまま本作のラストで使われており、『ミツバチのささやき』から50年を経て本作に受け継がれたことに震えるほど感動してしまった。本作にはエリセのエンディングノート的な幕引きというものが感じとれた。エリセ自身がこの作品を通して自らの半生を追想してるんだなあと思う。
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