Kensho

瞳をとじてのKenshoのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.5
寄りがどれも良すぎる。

編集者の老人が、失踪した男は「老い」に勝てなかったと言う瞬間、これしかないという寄りのショットになる。

それから、カメラがふと捉えるいろんな不在が、たまらなく良かった。

失踪した男が生きていると判明し、その生活部屋を覗いて過去に撮った映画の写真を見つけた後、介護士(修道士とは一線を画した今っぽい人物)の女がそれをさっと机にしまう。その直後、カメラがふと左にパンする。
すると空っぽな布団と枕が映される。
その不在の重力にハッとさせられる。

それから、海を映した180度以上のパン(これはただの実景のショットにすぎない)とか不思議なカットが結構あった。

あと、元恋人が思い出の曲を演奏する時、主人公に振り返る仕草が凄く良い。振り返りはああやってとらなきゃいけないんだなと思わされた。

エリセ節のディゾルブも多用されていて、個人的に凄い良い映画だった。
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