SaitoTsuyoshi

瞳をとじてのSaitoTsuyoshiのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
5.0
リバイバルの2作品含め、すべて劇場で観れたこと、しかも一度目は仙台まで行ったのにどちらとも寝落ちして、山形市で観了できたこと。新作を地元の近くの映画館(と言っても車で2時間弱かかる)の上映のタイミングで観逃し、青森の映画館まで泊まりがけで観に行ったこと、眼鏡を持って行ったこと、とにかくこの映画をスクリーンで観れたことがすべて。
唯一実名のアナ・トレントが50年の時を紡ぎ、エストレリャの名前まで飛び出すなど、ノーランとはまた違ったアナログの手法で時空を駆け巡る演出。
「ミツバチのささやき」も「エル・スール」も100分足らずなのに、3時間弱ある「瞳をとじて」は一瞬たりとも集中が途切れなかったのは、その美しすぎるスクリーンの映像と台詞に何度も打ちのめされたから。
心に残る旧作はたくさんあれど、エリセが生きている時代にこの新作に触れることができたのは、これまで観た中で間違いなく人生において最高の体験になった。
このノスタルジーに溢れたシネコンのこともたぶん一生忘れないかも。

元祖お洒落映画。
印象的な少女のポスター。
→ラストの直前で気づく

映画を楽しむにはできるだけ多くの映画を観ること。観る視点が変わり、捉え方も当然変化し、評価の基準も多様化して時にはこんがらがってしまうことさえ起きる。それが映画というアートフォームの鑑賞だと知る。
人生を力強く生き抜くというのは、選択肢の幅を増やすということ。嫌なことや後悔、絶望や悲しみ、そして孤独の状態になって「もうだめだ!」となってしまっても「どうって事はない。みんなそうだし、いつだってあったことだ」と開き直ること。

現時点で2024年一番の衝撃、というか興奮した体験になりました。