Ⅰ テオ・アンゲロプロスに倣いて
親愛なるエリセ
待ちに待ったあなたの新作、拝見しました。あなたがこんなにもテオ・アンゲロプロスを愛しておられたなんて!
撮影中に俳優が失踪し、後にテレビ番組…
『瞳をとじて』
映画監督ミゲルと未完作の主演俳優フリオとの失われた絆。
昔からの映画を愛する一個人として、アナログな映画の力がきっと奇跡をもたらしてくれると願わずにいられない。
アナ・トレント…
まずファーストカットから、あれ?予告と違うぞ、と思わされるフィルムの質感。「ミツバチのささやき」でも観たような少し離れた距離からの建物の外観。エリセの映画が始まるんだと言う高揚感。
一連のシークエ…
ビクトル・エリセのフィルムを観て感動するのはなぜか。そこに愚直なまでに真摯な映画体験が描かれているからである。
『ミツバチのささやき』の少女は、巡回上映で観た『フランケンシュタイン』の物語にひどく魅…
このレビューはネタバレを含みます
数年前にマルメロ、去年にミツバチ、本作の鑑賞数時間前にエルスールを鑑賞。
エリセの不在を感じるいとまは無かったにも関わらず、再会の嬉しさと新鮮な展開を楽しむ終始幸福な時間だった。
カウリスマキもだけ…
映画内のゆるやかな時間の流れを見つめていると、次はこんな会話が、こんなショットが来るかなと想像し、その想像が時間を追い越していくような表現しがたい混乱が生じる。時間はいつの間にか前進し、疑念や思い込…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
記憶というのは、視覚や聴覚単独ではなくて、共感覚的に記録されるものらしい。例えば雨の日は、湿気や匂いや音に手触りなどが一緒くたに残る。
この映画で、写真では蘇らなかった記憶が映像だと揺り動かされるの…
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