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DOOM ドゥームのとりのレビュー・感想・評価

DOOM ドゥーム(2005年製作の映画)
4.5
金券ショップで前売り券(激安)をゲットしてワクワクしてた期待のB級アクション映画!最初からいきなり縮小気味の公開でなかなか観に行く時間がなく焦りまくり。いよいよシネパトスだけとなった時にはもうダメかもと諦めモード。
なんとか鑑賞できてそりゃもう大・大・大満足。
すっごい面白かったー。期待通り、いや期待を上回る出来。どこを取ってもやりすぎ感の漂う愛すべきB級映画です。

B級映画ファンかつゲーマーでもあるので、この元ネタのゲームももちろんやったことがあります。何の機種で遊んだんだっけな⋯3DOだったかな?スーファミの次世代が登場してきたあたりから、いわゆる洋ゲーと言われる非常にシビアでコントローラーを破壊したくなるゲームがいっぱい移植され始めたんですよね。
他の洋ゲーもいくつか遊んだけど、このドゥームはシビアとか暗いとかそういう理由ではなく、あの独特の自分視点がどうにも合わなくて最初の方ですぐにやめてしまった悲しい記憶があります。ちょっと操作するだけでオエーと吐き気が。

この映画を作った人たちもこのゲームが大好きなんだろうな~という思いがビシビシ伝わってきて、妙にツボを心得ているというのか、同じゲーマー魂を感じずにはいられません。
オープニングの地球の「UNIVERSAL」ロゴが火星になってるところからいきなりテンションが上がる!そこからCGを駆使した「DOOM」のタイトルロゴが出現した時点でもうメロメロ(死語)。序盤の始まりエピソードもめちゃくちゃいい。サスペンス、スピーディ、残虐、ありきたりドラマ…全てが凝縮されてて、すっかり鷲掴みにされました。

そして今回の主役だと思い込んでいたロック様の後ろ姿が登場するんですが、これが意味も脈絡もなくハダカ。アニキ向けサービスとしか言いようがありませんが、しょっぱなからこのぬかりのない大サービスっぷりに期待が高まります。
ちなみに本当の主役はザ・ロック率いる特殊部隊のメンバーの一人、ロードオブザリングのエオメル王子でした。確かにチラシとか見たらエオメルが一番にクレジットされてたけど、中盤あたりまで本当にロック主役だと思って疑ってなかった。
ロック様は今回なかなか難しい役に挑んだなぁと思ったし、彼なりの新境地を開いたのではないかと思います。なのにラジー賞ノミネートって!スタローンみたいに協会から何かの烙印でも押されてしまってる人なのでしょうかね。

特殊部隊メンバーの描写がとても優れていて、B級とバカにしてる人侮ってはいけませんよ。人数が多いにも関わらずきっちり個性が描き分けられているし、名前も覚えやすいし、それぞれの活躍シーンがかなりあります。というか個性的な死にっぷりと言うべきでしょうか。
出陣の際、それぞれが好みの武器を手に取るシーンがあるんですが、あれいいですねー。ゲットした瞬間に武器がわざわざ「アンタのコードネームは○○だよ」って教えてくれるんです。しかもやたら大げさな武器ばかり。全員がバズーカ砲並の銃器を抱えて出動って。とにかくツボです。だってねぇ、ゲームやってる時見た目重視・威力重視の武器選ぶに決まってるもんねぇ。大は小を兼ねるというより小でじゅうぶん済むんですけど、っていう状況でも無意味に大。

そういえば厳重に守られたケースの中に意味ありげに究極武器が収納されてるんですが、この武器を見つめるロックの目の凶悪なこと!銃社会バンザイ!うぉぉこれ使いてぇぜぇ!そんな感情がジュージュー音が聞こえそうなほど伝わってきます。
そしてお約束通りそれはロックの手中におさまるんですが、超かっちょえー。なんやそれ!と突っ込みまくりの破壊力。原理がよくわかりませんがとりあえず弾補充型のようで撃ちまくりではなく制限があるらしい。って、どんな弾が入ってんのよ、あれ。発砲シーンを見る限りではロケット弾みたいな印象を受けたけど、カートリッジ型のようなシステムにも見えるし。

全般的に銃撃戦もそれなりですが、クライマックスの肉弾戦は物凄い見ごたえでした。唐突に肉弾戦が始まったので一瞬びっくり、その後すぐにニヤリ。やっぱりロックを起用するからには肉弾戦っすね。
つうか、この格闘かなり速い!たまにワイヤーを使ってる動きもあったけど普通に地面で殴り合ってる時の動きがシャープでパンチの速さに目を見張ってしまった。ロックの相手をつとめたアンタすごいよ、よく頑張った。あともう10分ぐらい見ていたかったなぁ。
とにかく終始ニヤニヤニヤニヤもう顔がゆるみっぱなし。電流デスマッチでは思わず声が漏れてしまいました。劇場内5人程度なので我慢してたけどみんな笑ってなかった。えっ。

それからこの映画を語る上でぜったい外せないのが、ゲーム画面を模した一人称視点映像。これがあるという噂は聞いていたので色々想像はしてたけど、うわよくまぁこれだけ冒険したなぁって思うほどの作りで嬉しかった。
この一人称モード視点に切り替わってからはもはや映画ではなく大画面で他人のゲームプレイを見てる状態と何ら変わらんモードに。次から次へと目の前に現れるモンスターを殺戮していく醍醐味。飛沫となって飛び散るモンスター。おおお、いわゆるこれは無敵スーパープレイモードってヤツっすか!気に入ったっす~。

エンドロールなんてまるでゲーム画面そのもの。ポリゴン調の3D画面を進んで行くところに出演者達のクレジットが出現。それを敵に見立てて撃ちまくるという爽快さ。少ない観客が誰一人として席を立たなかった。
この映画、過去の傑作SFやホラーなんかをあれこれ混ぜ合わせて作ったような雰囲気はあるけど、ゲーム視点映像はまぎれもない先駆者です。

銀座シネパトス(閉館)
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