金と知恵

湖の女たちの金と知恵のレビュー・感想・評価

湖の女たち(2023年製作の映画)
3.5
原作が吉田修一。好きな作品は「楽園」「パレード」「怒り」「悪人」。 

 監督は大森立嗣。好きな作品は「星の子」「マザー」。

この2人がタッグを組んだ今作。この方々の過去見てきた作品はどれも記憶に残る。面白い!!という感想よりも見終わった後にぼーっとなってしまう。脳から離れない不思議な気分にしてくれる。

 決して綺麗な世界ではないけども、いろんな葛藤や苦悩と戦ってる姿はどれも美しかったりする。狂ってたりもする。でもそれが良い。忘れられない作品にしてくれる。

 「湖の女たち」はタイトル通り、湖の付近で起こった出来事である。女たちが中心である。

 福士蒼汰と松本まりかの2人だけの何とも言えない美しくて狂っている時間とそれ以外の時間という感覚だった。

介護施設で100歳の老人が何者かに殺される。職員だろうと疑い警察はあらゆる手で追い込もうとするが、その裏には警察官で支配したい欲のある福士蒼汰と、介護施設で働く松本まりかの求めてしまう欲が絡み合うのであった。

 さらには実在話でもある、731部隊(満州第七三一部隊)の話も具体的に織り交ぜていた。私も詳しくなかったので、細菌兵器の研究のために人体実験を行っていたこと。被害者が2000〜3000人ときいて実際にこんなことが、、、と衝撃を受けた。

また、2003年に滋賀県の介護施設で実際に起こった湖東記念病院事件。人工呼吸器が外れていたかどうかなどの話であったり、介護施設で働く女性が取り調べ刑事に恋をして、警察官に会いに頻繁に訪問してきたり、離れたくないと抱きついたりとされていたそうです。

このように過去の実際に起こった事件などがモデルになっている今作は、奇妙な恐怖がありました。

その中でも、松本まりかさんがめちゃくちゃ魅力的でした。

福原遥さんの演技が好きなのですが、声といい顔といい似てるなーと思うところがあり、魅力的なシーンもたくさん。

そして普段知る福士蒼汰の演技とは別で、無気力だが支配したいというオラオラ感は、福士蒼汰だけど福士蒼汰じゃないみたい。

浅野忠信さんも良すぎましたね。後半の女記者との絡みが特に好きです。言葉の掛け合いで笑っちゃいました。

色々なものが詰まった作品でしたが、ラストのシーンは星の子のラストのような時間があって自分この映画好きだなぁーと思ってしまいました。
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