悪魔の毒々クチビル

先生!口裂け女です!の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

先生!口裂け女です!(2023年製作の映画)
3.7
「ドンマイ」

不良生徒3人組が盗んだ原付きの持ち主が口裂け女だったお話。

本当はこの前の土曜日に観に行くつもりでしたが、前日にチェックしてみると何と都心の劇場がほぼ満席で「は!?何で?」と焦るもどうやら全劇場で舞台挨拶があったそうで。

うん、面白かったです。ホラー映画ではないけど。
ただ撮影期間が8日しか無かったのを踏まえても、色々と引っ掛かる所が多かった。

ちょくちょく原付き盗んで売ってるタケシとF1コンビに、「あたしも混ぜてよ」とクラスメイトのギャルで転校生のアヤカが加わりうっかり口裂け女の原付きパクっちゃうまでのテンポは非常に良かったです。
て言うかアヤカって引っ越して来たのは間違いないんだけど、どのタイミングで来たのかよく分からないんですよね。
普通に転校生として紹介されたならそこで旧友のリサに気が付く筈なのに、教室入って来て「え?アヤカ!?」って気付くのは何かおかしいような。
あの日が春休み明けとかでもうちょい前に越して来ていてクラス替えで一緒になった、とも取れなくはないけど地味に気になりました。

青春映画の要素が強めの割に学校パートがマジで適当過ぎて本当に時間無かったんだろうなぁ、と思いました。

口裂け女の正体もかなり早い段階で明かされ、これが完全に予想外のキャラ付けでちょっと困惑しましたが、これはこれで新鮮味はありましたし若干コミュ障な人間らしさが好感持てる存在で良かったです。
終盤の大人数を相手にしたバトルも殺陣が見応え満載で、めっちゃ格好良かった。
口裂け女役の屋敷絋子さんを正直知らなかっただけに、クオリティの高いアクションの連続に感激しました。ちょっとお茶目なギャップも良し。
そう言えば最近の日本のアクションって連打流行ってんの?

逆に言えば明確に好きと言える要素はそれくらいで、後は…うん。
タケシのお姉さんがボクシング経験者ってことで、口裂け女の写真を撮りに無理矢理同行させられていたので、てっきりここもちょこっとバトルするのかと思いきやそんな事もなく。バトル自体、予告編のあのくだりのみでしたし。
アヤカも初登場の印象がバイクの運転結構上手い人、だったので後に活きてくるのかなとか思っていましたが全然違うというね。
タケシの修行シーンも一回ちょっとやっただけだし、他の二人と喧嘩してもすんなり仲直りしていたりと日常シーンがおざなりな上に台詞が不自然に説明的な場面も多々ありました。

そもそも中盤~終盤にかけてはある事件をタケシ達が追う展開の関係で、口裂け女はほぼ出番無いんですよね。その間、なるべく人目に触れず生きてきた口裂け女が中傷の的になったりとこっちはこっちで色々あった筈なのに。
そしてその犯人丸分かりなスラッシャーパートのせいで内容がごちゃごちゃして忙しなくなっちゃうのも、もうちょい各々のパートを面白く併存させる事が出来たんじゃないかと思うので勿体なかったです。

最後の方で口裂け女が日用品を武器にしたり、椅子を使ったアクションなんかはジャッキー映画、間違えて鉄骨か何かにパンチして悶絶するのは「シャドー・オブ・ナイト」っぽかったし、相手の腸を引き摺り出してロープ代わりにして有効活用していたのはトミー・ウィルコラ監督的な腸へのこだわりが感じられて好きでした。引用元がそれなのかは知らないけど。
そう言えば生首がゴミ箱にホールインワンするのも8作目の「13日の金曜日」っぽいギャグシーンでしたね。

普通に楽しめはしたし製作の事情もあってどうしようもなかったんだろうけど、もうちょい時間掛けて練って欲しかったと言うのが正直な感想です。
あとリサがめっちゃ綺麗で何か笑っちゃった。