ハル

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のハルのレビュー・感想・評価

3.9
進路や親との関係性でうまくいっていなかった百合(福原遥)が突如タイムスリップした戦争終期の日本。
そこで出逢った軍人の彰(水上恒司)と百合が恋をするタイムスリップを絡めたラブストーリー。

“戦争”を描いているが、直接的な描写は少なく、どちらかというと会話劇に重きを置いたスタイル。
そのため、話もすんなり入ってくる。
“神風特攻”と呼ばれ、命をかけた突撃部隊。
その無念さ、むなしさがひしひしと伝わってきた。
愛する彼女がいたらそりゃ生きたいよね。
“死ぬこと”に使命を感じるなんて絶対に間違っているし、今の時代ではありえない感覚。

未来を知り、負けることがわかっている百合からすれば愛する彰にそんなことはやめてほしいのだけれど…
軍人である彼らはそれを責務として出撃命令が来るまでの時間を過ごし、相手にダメージを与えれば「お国のために戦った」という誇りを感じ、死にゆく人生。
切なすぎる…

悲恋の物語、今作で最も印象に残ったのは岡田健史改め水上恒司の芝居。
彼の存在感は群を抜いていた。
事務所の移籍騒動から実名に変更したこともあり、本人も仕事が減少することを危惧していたようだが、なんのその。
硬派で一本気タイプの俳優は貴重であり、今後も楽しみな俳優だ。

現代との感覚の“ズレ”を通し、当時の考え方、その時代に生きていたらそれが正解に思えてしまう“違和感”を学べるのは有意義な時間となった。
役者、ストーリー共にクオリティー高く、
ラストのカタルシス含め、一見の価値ありの良作だと思います。
ハル

ハル