芥川クリスピンクリスピアーノ

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の芥川クリスピンクリスピアーノのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

誰かわからない川で溺れていた子供を助け、愛するものをこの世に残して死んでいった父に疑問を感じていた百合が特攻隊として自分たちの愛するものたちがいる国を助けるために自らの命を捧げた彰に恋することにより、自分の考え、生き方に変化が生まれていく流れをうまく描いている作品。死ぬと分かっていて出撃命令を待つ彰たちに日本は戦争に負けるのにその死になんの意味があるのかと真っ直ぐな百合の花のような言葉で問う百合の気持ちは特攻を本能では拒絶しているであろう我々の潜在的で純粋な生への気持ちを表現しているように思える。
ただ2人の恋愛に関しては、特にその関係が深く描写されているわけではないので、明確に愛し合っていたかどうかは疑問が残る点ではある。