SUGO6

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のSUGO6のレビュー・感想・評価

5.0
興行的に昨年・今年の邦画で密かに抜きん出ている(2.5時点39億円)本作ようやく見れた。戦争(かつ特攻テーマ)xタイムリープという、鉄板に鉄板を掛け合わせた作品かつシナリオ的にツッコミを入れたくなる所もあるけども、それでもおつりが来るくらい涙が自然と溢れる映画だった。(色々ありましたが素直に号泣してたのでもう5.0です)

主演のお二人それに脇の皆さんもすごく良い。福原さんは声優経験が豊富なのもあるからかはわからないが、感情を言葉に乗せる技術が素晴らしく長けているように感じる(同じ感覚は以前有村架純さんにも感じた)。劇中「生き恥」について語りかけるシーンは特筆。ピュアで親しみやすいキャラクターもこの映画が共感を得やすい要因だと思う。

福原さん演じる女子高生が恋に落ちる特攻隊員を演じた水上恒司さん(旧名 岡田健史さん)も実直で凛々しい姿がこの役にものすごくハマっていた。役柄的に控えめな役どころに見せて割とグイグイ行く(笑)所もあったのが気になったが、限られた時間の中での想いの現れと捉えれば腑に落ちた。

松坂さんは言わずもがな、懐深く愛に溢れるおかみさんはさすが。伊藤健太郎さんもいい味出してる。若手注目系の出口夏希さんも主人公に寄り添う初々しい役所でピンポイントで目を引く姿が印象的だった。

何より、タイムリープというギミックによって生じる時代間ギャップがあるからこそ、強烈な反戦のメッセージが生み出されている所にこの作品の成功があるように感じた。それを現代を生きる女子高生が素朴に感じえる、戦時中の違和感を福原さんが言葉として放つことで、若い人たちの心により響くものになっているのだろう。

公開から既に2ヶ月が経っているが、自分が鑑賞した地方(静岡県浜松)でも夜のコアタイムながら7割型埋まっていた感じで、腰の強い興行となっているのを身を持って感じた。特に中高生世代の若い方々がグループで来ているのが印象的だった。

戦争を知らない世代だからこそ、戦争を知っておきたい・機会があればちゃんと理解したい、という気持ちがあるのではないかと思ったり、そうした気持ちにも刺さっているのかなと。

とはいえ全世代に響く作品だと思う。想像もできる流れ、派手さもないが、二人の出会いと別れに徹底してフォーカスした所が逆に良い。舞台セット然り、配役然り、作品を丁寧に作り上げようとする制作側の熱意も感じる良作。ブーム化の流れで最終50億円も全然あり得ると思われる。
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