おりひめ

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のおりひめのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

物語 4点
配役 10点
演出 4点
映像 8点
音楽 10点
---合計36点---

大筋は良くも悪くも予定調和。鬱屈した日々を送る現代の女子高生が大戦末期にタイムスリップし、当時の人々生き様を目の当たりにして、現代に帰って来て心を入れ替えて未来を生きて行く話。
起承転結は簡単に予想出来たので、彼女は何故タイムスリップしたのか、そのトリガーを鑑賞前から一番注目していたのだが、一切触れられなかったというか特に設定が無かったのが残念。百合はタイムスリップ先で出会った誰かの子孫なのではないかと予想していたのだが……。

色々とご都合主義で、特に百合のピンチには彰が毎度毎度駆け付けるのが都合良過ぎて非常に気になったが(接点作りが雑過ぎる)、しかし特攻は都合良く逃れられなかったのが残酷だ。明らかに未来を知っている様子の百合の言葉が彰に全く響かなかったのはリアルだった。
上記ご都合な展開と、彰のキャラクター造形が寡黙な青年な為に、百合と彰の恋模様には感情移入しにくい。むしろ、戦時中の悲恋を自然に展開していた千代と石丸の方にうっかり心が動いてしまった。千代ちゃん人形のエピソードは作中で一番泣ける場面と言って良い。とはいえ百合と彰の方にも見せ場はあり、最大の貰い泣きポイントは終盤の特攻資料館で自分宛の手紙を百合が見つけるところだろう。エンドロールの『想望』が彰の心情そのものなのも良い意味で辛い。

知らない俳優さんも多かったが、皆さんそれぞれの人物造形をよく表現されていた。

最後にこれだけは言わせて欲しい。
「他人の誕生日に勝手に死ぬな。」(完全に私怨)

※鑑賞後、ふと公開日が12月8日であった意味に思い当たった。昨年は観なかったが『ラーゲリより愛を込めて』が12月9日公開だった。なるほど冬に戦争物を公開する意義はここにあるのか。
おりひめ

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