EDDIE

ほつれるのEDDIEのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.0
人間の狡さ、汚さ、さりげなさ、そういったマイナス感情をセリフでなく画で魅せる巧さ。この映画の登場人物は誰もが弱くて悪い…同情の余地もない。しかし人間長く生きてると思い当たる節もあるのではないか。門脇麦と田村健太郎が実に見事な演技だった。

昨年2022年に『わたし達はおとな』という傑作を世に送り出した加藤拓也監督の新作。
前作もあまりにも居心地が悪くなるぐらい、人間の悪い部分が出まくっていましたが今作も同様でした。
「こんな人間いるよな」ってキャラを作り上げるのが巧すぎます。

特筆すべきは文則役の田村健太郎でしょう。
この映画の文則という役を演じるならこの人しかいない!ってぐらいのハマり役。
しかも画で見せるのが上手いから、門脇麦演じる綿子が普段の夫婦生活の中で何を不満に思っているのか、鑑賞者であるこちら側もすごく想像しやすいようになっています。
ただ後ろめたい気持ちを隠している綿子も決してあからさまな態度には示しませんし、とはいえ夫婦生活がほぼ破綻していることも会話がありながらも互いの目を見ていないなど、とにかくリアルすぎるんです。

結局のところこの夫婦はどちらも十字架を抱えているわけで、だけど相手に裏切られたと思うと相手を糾弾してしまう…まぁ人間って都合がいいよねっていう。
悍ましいぐらいに気分悪いですけど、ただその描き方が自然すぎてやはりこの監督凄いなっていう感想ばかりが吐露されます。

〈キャスト〉
綿子(門脇麦)
文則(田村健太郎)
木村(染谷将太)
英梨(黒木華)
哲也(古舘寛治)
依子(安藤聖)
中田(佐藤ケイ)
原田(金子岳憲)
笹井(秋元龍太朗)
救急センター声(安川まり)

※2023年新作映画124本目
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