だいカラさん

ほつれるのだいカラさんのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.3
門脇麦が好きなので朝イチで観に行きました。
「わたし達はおとな」の監督さんの長編2作品目ということに観たあとで気づいて、意識せずに加藤拓也監督の作品を追いかけられていることにちょっと嬉しくなりました。しかもオリジナル脚本。この人、演出家さんの顔もある人なんだな。

タイトルがとても絶妙、タイトルが出る時も細くて消えちゃいそうな文字でふわぁっと出るもんで、その時点でなんとなく不安になる感じで、実際始まると平和な日常が少しずつ確実にぐらぐらし始めるのがなんとも息苦しい感じがするくらいでした。

日常を映画に、ってなかなか難しいと思うんです、変なことを言うかもだけど、俳優さんが演技で日常を演じるとなると、それって果たして本当の日常なの?みたいに思ってしまったり。

でも門脇麦、染谷将太、黒木華の絶妙な普通っぷりが大爆発していて、まさに完璧に普通の日常風景という感じでした。
あと、あまり知らなかったんだけど田村健太郎、この人の抑え目にしているからこそ、感情を外に見せない出さないようにしているからこその怖さ、これがとにかくすごかった。あと、酔った時のつまらなさとめんどくささも最高に最悪で最高でした。今まで観た映画に出ていたみたいなので、注意して観てみようと思いました。古舘寛治の朴訥でホッとする感じもさすがだ。唯一の救いのシーンっていう印象でした。

しかし、タイトルはほつれるなのに、だいぶ絡み合った話だったなぁ。絡み合った絆?みたいなやつがとある出来事をきっかけにほどけていってしまうからほつれなのかー、うまいタイトルだなしかし。ほつれって気になると気にしないようにしても気になっちゃうもんなぁ、、忘れられないこと、忘れた方がいいこと、忘れちゃダメなこと、忘れてほしいこと、いろいろあるわ。

86分の映画なのになんだか長く感じる不思議、たぶんイヤな日常を追体験している感覚になっていたんじゃないかな、、つまらない授業とか怒られてる時間の方が楽しい時間より長く感じるもんね。
極力音楽を排除した映像で静寂の時間が息苦しく、ぴりついた空気感ですごかったなぁ、、いやぁすごかった。
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