夫と恋人がいる生活に身を置く綿子。だがある日突然恋人が事故で帰らぬ人となる。
物語としてはシンプルでどこかで見たような話だと思うのだが、会話劇で魅せる作品であり単純な不倫話で終わらせない構造になっていた。説明ゼリフが全くないので登場人物の言葉の端々から観客は彼らの心情を読み取ってゆく。表面上は穏やかな会話でも引っかかる箇所が多々あって、特に綿子と夫である文則の会話はすれ違い不穏さが漂う。ぜんっぜん心が通じあってなくてある意味ホラーともコメディとも取れる夫婦の関係性。
綿子も文則も私自身の気質とは全く違いすぎていて、こういう人もいるんだなぁという感じ。でも二人の心根を推し量るのはわりと面白くて、同時に気まずさとか居たたまれなさみたいな感情も湧いてきて色々情緒が忙しかった。
文則を演じた田村健太郎さん。「素晴らしき世界」では彼の演技にボロ泣きしてしまったんだけど、今回はドン引きしたよ。こういう理論的に筋道立てて話しているように見せかけて実は粘着質で湿り気100％の男。実生活では絶対会いたくないタイプ(絶賛してます)w
