sakura

ほつれるのsakuraのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.3
よかった。
予告編が衝撃的だった前作『わたし達はおとな』は、もうとにかく笑ってしまうくらいの「絵に書いたようなやだみ」の炸裂が藤原季節くん演じる彼氏に委ねられていたけれど、本作は門脇麦ちゃん演じる主人公の身になってみたら、もう全方位にとにかくすべてが嫌すぎてよかった。

口喧嘩に強い自負があるので、あの夫みたいにならないように気をつけたい。

麦ちゃん一人のシーンは当然ながらセリフがないので、麦ちゃんの行動を追うような無言のシーンが多い。
山梨へ向かう道中の車のバックショットなんかは、そこからなにを汲み取ればいいのかと思ってしまうけれど、この余白で作品とは関係のないことを考えることができる。あるシーンを見て、自分が忘れてしまっていたあることの断片を思い出したり、ある展開から自分のある瞬間と照らし合わせたり。わたしはハラハラと展開を追うものよりもそういうのがわりと好きなので、いい余白だと思えた。

冒頭のロマンスカーで合流するシーンよかったな。「不倫」ってかんじのじゃなくて、こういうのがやりたかったんだよわたしは。

不倫に限った話ではないけれど、ふと相手やわたしが事故ってうっかり死んだら、きっとわたしたちはLINEに既読がつかなくなって連絡がとれなくなって、なにかしら関係を続けられない事情があったんだろうな、と思うことしかできない。
麦ちゃんの場合は、黒木華さん演じる共通の友人がいたからよかったけれど、現場に立ち合っていたとしたって別人が電話に出てくれるでもない限り助かったかどうかさえわからない。現場に立ち合ってない確率のほうが高いわけだけど、その場合いつ死んだのかすらわからない。
わたしは経験してきた世代ではないけれど、家電にかけて家の人に呼び出してもらっていた時代をうらやましくも思った。


ここまで書いておいて余計な一言だけど、セリフの聞きづらさどうにかならないのかな。麦ちゃん大好きでほかにもいろいろ見ているけれど、もっと普通に聞き取れてるので意図的にぼそぼそ話させていてぼそぼそしすぎているか、あるいは録音の問題なのか…。

あと、犬で救急車はむりだったとしてもせめて動物病院に電話するとか連れていくとかしてあげて、、、🥲 わたしの発想にはまったくなかった選択肢を選んでいてびっくりしちゃった。
見終えてすぐ調べたけれど、夜間でもやっている動物病院などもあるので電話してください、って複数の動物病院のHPに書いてありました。
わたしは今はペット飼っていないけれど、十数年一緒にいた愛犬が亡くなったときそんなことはわかってはいたけど想像の何倍も悲しくて喪失感があったのとで、もうペットを飼えそうにないほどなので、ワンちゃん飼ってる人は近所の病院の番号とか登録しておいてあげてほしい。
お父さん悪い人じゃなかったけど、許せないのは当然だし、お父さん側が結婚式に行かない選択をしたとか、え?ってかんじだった。
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