Stevie

ほつれるのStevieのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.7
冒頭からラストまで圧巻の84分。
この映画は、訳あって冷め切った夫婦がこれから関係を良くしていこうと試みるが、彼女の不倫関係にあった相手が事故に合い帰らぬ人となってしまう。真実から目を背け、変わらぬ日常を過ごそうとする主人公に焦点を当て、人との繋がりや人生を自省していく物語である。
いや、本当に演者達の演技力に脱帽。日本映画もここまできたかと。特に主演の二人が演じる夫婦姿が本当にリアルで、終始私は彼らと同じ部屋にいて、真横で対話を聞いている様な感覚になりました。こんなにリアルな映画は本当に久しぶり。構成や内容は違えど、濱口竜介監督のドライブ・マイ・カーを彷彿とさせたが、それもそのはず、音楽は同じく石橋英子さんが担当している。強烈に耳に残るメロディもお涙頂戴な旋律もないが、タイトルにもあるように何かがほつれる"感覚が彼女の作る音楽から感じられた。そしてそれが映画の中で最初からエンドロールまで繊細に表現されていた。
これから観る方、レベルの高い "大人な"邦画を是非劇場で。
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