このレビューはネタバレを含みます
あぁ〜〜〜テーマは全く共感できない。
そもそも"不倫"というものが身震いするほど嫌い。
家を買って、子供を作って、しかもそれを相談しながら作り上げて、夫婦の未来を描こうとしてくれているパートナーの気持ちを、自身の恋愛(ましてや不倫)にばかり気を取られて踏みにじるのは許せない。
結婚するということは、巣を作り子孫を残すという共通の目標に向かって歩み始めるということだから、それを裏切った上に、「あなたよりも大切な人ができたんだ」と伝えることは、ルール違反もいいところ。
だけど…だけど…その不快感を上回るくらいほんっとうに惹き込まれる作品だった。
前妻のもとに残してきた子供を度々預かる夫。
孫の世話を理由に自宅に上がり込む義母。
それらへの感情を押し殺し、理解ある心の広い妻を演じることにいつしか囚われていた綿子には、飄々とやりたいことだけやって生きる木村との時間が必要だったんだろう。
そして感情のはけ口だった木村を喪ったことにより、自らの感情を夫にぶつける時間も必要だったんだろうな。
コピーにある"見ないようにしていた"のは、不倫の事実だけではなく、不倫に至ったもろもろの原因と、抱いていた自分の感情なんだろう。
"見ないようにしていた"違和感、面倒な気持ち、厄介な存在…
それらを真正面から見据えて、解決に動き出すことで、あの夫婦の時間が動き出したのだと思えば、きっとあのステップは必要なものだったはず。
それをかなり鋭角な視点で捉えることで、加藤監督なりに「夫婦の向き合い方」を描いていたのだと考えると、どうしても高スコアをつけたくなってしまう…奇妙な、でも魅力のある作品でした✨
【ストーリー】
夫・文則(田村健太郎)との関係がすっかり冷え切っている綿子(門脇麦)は、友人の紹介で知りあった男性・木村(染谷将太)と頻繁に会うようになる。
ある日、綿子と木村の関係を揺るがす決定的な出来事が起こり、日常の歯車は徐々に狂い出していく。
