コザカナカルシウム

ほつれるのコザカナカルシウムのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
3.5
不倫した夫への不満と向き合わなかった綿子が、自分の不倫相手が事故死したことで、自分と夫に向き合わざるを得なくなり離婚する話。
パパゲーノのイメージで見始めたら、ほんわか要素が1ミリもなく終始ヒリヒリ!唯一のほんわかと思っていた古舘寛治も、後半ヒリヒリした。

綿子が夫と対峙するまでの転がりが見事!
①不倫相手の木村が目の前で事故
②救急車を呼べなかった綿子
③木村の死を知る
④山梨に墓参りして父と会う
⑤木村との思い出の指輪を紛失
⑥山梨の木村実家まで探しに行き、不倫バレる
⑦指輪を見つけた夫に不倫バレる

何より、綿子の人間くささに共感した。
不倫相手の事故に遭遇しても救急車を呼べず、葬儀にも出ない。
夫と冷め切った関係でも、現状を変化させたくない。最後の対峙場面で不倫を認め、不倫した夫を責めたのに、「別れたい?」と尋ねられと頭を振る。まさに「人間だもの」

私がとっちらかりやすい体質なので、こういう一本筋が通った「水」のような脚本って神!
不倫相手の死から、夫に不倫がバレるまでの転がり、クライマックスで明かされる「不倫から始まっていた結婚」…綿子が自分を見つめるまで一切の無駄がなくて素晴らしかった。