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パラダイスの夕暮れのTSのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
3.6
【不器用な必死のアプローチ】76点
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監督:アキ・カウリスマキ
製作国:フィンランド
ジャンル:ドラマ
収録時間:80分
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 アキ・カウリスマキ監督の作品は定期的に観てしまいます笑 また、尺も短めなのが多いので気軽に観れますね。なんというか、全部同じ場所で撮ってるんじゃない?というくらい他作と比べても似通ってる雰囲気なのですが、これがまた良いんですよね。自分の中では、フィンランド映画ときたら完全にこの監督の作品のイメージがつきましたね笑 で、後々調べたら僕が観たことあるこの監督の作品は「労働者三部作」と呼ばれるものだそうで、今作はその1作目とのこと。ああ、なるほどだから雰囲気が似ていたのか。。

 ごみ清掃員の仕事をするニカンデルは、スーパーのレジ係の女性、イロナに一目惚れしてしまう。レストランで一悶着を起こし、留置所に送られたニカンデルは、その後行動を起こすのだが。。

 他作もそうなのですが、決まって主人公は冴えない中年男性です笑 今作の主人公も、貧困層とは言いませんが必死に社会についていってる印象を受けました。まさに労働者階級の苦労の日々を映し出しているということです。確かに思い返せば、市井の人々の何気ない様子や、労働をしている様子を淡々と、いや丁寧に描いています。つい先日観た『PERFECT DAYS』もこういう雰囲気がありましたので、我々は普段注目しない何気ない動作や行動を丁寧に撮られたら不思議と夢中にみてしまうのかもしれません。

 中々口下手なニカンデルでして、イロナもまんざらではないのに中々想いをはっきり伝えられない。途中、イロナの新しい職場の男に取られそうになるも、ニカンデルは不器用ながら喰らい付いていきます。彼らの淡々としたやり取りも良かったですし、地味に留置所でニカンデルと出会ったメラルティンが良い味を出していました。悪い奴なのかなと思いきや、ニカンデルに協力的で観ていて微笑ましかったです。

 ということで、順番は滅茶苦茶でしたが、一応アキ・カウリスマキ監督の「労働三部作」は全て観たことになりました。傑作とまではいきませんが、観ていて心地よいのでこれからも定期的に観ていこうと思います。
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