映画で巡る世界紀行〜③フィンランド編
久しぶりのアキ・カウリスマキ。
この監督の作品は、観終えてしまうのがもったいなくて、少しずつ観ることにしている。
タイトルに合わせたくなって、夕暮れ時に観た。
ゴミ収集人ニカンデル(マッティ・ペロンパー)の佇まい。
ああ、なぜ私は唯一無二の人に惹かれてしまうのか。。
爽やかでスマートな人よりも圧倒的に哀愁をたたえた不器用な人に釘付けになってしまう。。
オドオドした感じの大きな瞳がなんとも言えない!集団の中にいてもどこにいるかすぐわかる独特の存在感。
もう、オープニングの気だるいジャジーな選曲からしてビンゴ!
相変わらず、男も女も酒とタバコ。おいおい、勤務中…。
もうあらすじなんてどうでも良くなる、いつものヤツ、
アキ・カウリスマキワールド。
仕事仲間のあっけない死、
子どもの貯金箱からお金を取って人に貸す同僚、
内田裕也みたいな髪型のくわえタバコのピアニスト…
それはあかんやろ〜なツボがいっぱい!
奥手かと思えば、結構大胆なニカンデル。いきなりのキス。イロナを取り返しに店長に迫る漢らしさ!
ニカンデルが惚れちゃうスーパーのレジ係イロナ(カティ・オウティネン)のツンデレがすごい。誰かに媚びるなんてしたことない、と顔にハッキリ書いてある。優しい男にキツめの女は、よくある組み合わせ⁈
音楽が映画にとって必要不可欠であることを改めて感じた。
前回のイラン映画でも思ったけれど、豊かさと引き換えに何か大切なものを失うくらいなら、あるもので間に合わせれば良い。
何もなくても愛さえあれば生きていけるんじゃないか、みたいな絵空事を本気で思わせてくれる素敵な作品。
人生思い通りにいかないなぁ、、なんて日の夕暮れに観たくなる一本。
気づいたら泣いてたなぁ。。
悲しい涙じゃなくて、あったかい、涙!