たった15分のストーリーながら、その短い時間の中で誰しも経験したことのある出会い/そして辛い別れを幻想的な映像表現で映し出す。
非現実的でドリーミーな物語展開で綴っていき、けれどラストできっぱりと現実の世界に降り立ち、主人公・黒猫を帰る場所に戻してあげる。
この上なく愛を感じさせてくれるやり方で。
一見トリッキーに見える撮り方も、むしろ最初期の頃の映画(メリエスの『月世界旅行』のような)が持ち得たプリミティブなマジック性を感じさせる。
子どもの頃、永遠に続くかと思えた夢から目が覚めたとき、よかった、「ホーム」に帰ってこられた… と安堵したあの気持ちを思い出した。