れれれざうるす

亀も空を飛ぶのれれれざうるすのレビュー・感想・評価

亀も空を飛ぶ(2004年製作の映画)
3.8
フセイン政権崩壊直後に初めて製作されたイラク映画。イラク北部の国境付近で暮らすクルド人難民の子供達の話。地雷で手や脚がない子供、アメリカ兵、全て素人であり現地の人達。フィクションだけどドキュメンタリーのようで、イラン・イラク戦争下を子供目線で描く。
村のリーダー的存在なサテライトを中心に、地雷除去を自ら行いそれを売って何とか生きるが、本人達には“当たり前な日常”ゆえに悲観的にはなっていない。が、それを平和に暮らす我々(第三者)から観ることによってかなり悲惨で過酷な生活だということがわかる。(私のような何も知らん小娘が感想なんて書くのおこがましいけども…)

難民として村に流れてきた、両腕のない兄、盲目の幼児を連れた赤い服を着た少女アグリンにサテライトは恋をする。そのシーンが唯一子供らしくて胸キュン。大人と女の子はあまり出てこないけど、本作に出演する子供は“大人より大人”なんだよね。“子供らしい”というものをそもそも知らないというか…。それが実際の戦争孤児だったりリアルに戦争を見てきた子供達が演じるからこそ他には出来ない演技力。目で訴え、心から涙を流す。

映画としても完成度はかなり高く、魅入ってしまう映像の見せ方をしてくれる。「少女の服・炎・金魚」と赤い色が色味の無い画面に映え印象に残る。サテライトがアメリカを夢見て…というくだりはラストを考えると皮肉にしか感じない…というか諸々とキツイものがあった。皆が皆亀の甲羅のように重いモノを背負っている。ただ何故か暗くはないのは子供達が生き生きしてて前向きだからかな?
サテライトの子分っぽい「びぇぇぇん」とすぐ泣く男の子が可愛くて癒された!

うーん、でもこんな悲惨な生活をしながらも未来を夢見て生きる子とは裏腹に、裕福な暮らしが出来る日本の方が生活に満足してなかったり親がいながらも虐待される子がいることを考えると、どちらが良いか悪いかなんて一概に言えないなぁ、とつくづく思う。

ということで私のレビューは参考ならないので他の方のをご覧下さい!(丸投げ)