たんたんめん

人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をしたのたんたんめんのレビュー・感想・評価

3.6
これはいい映画。

エモーショナルになり過ぎないギリギリで寸止めする上品さが、逆に沸々としたエモさを掻き立てる。
主人公の純粋に応援しづらい絶妙に嫌らしい人物造形といい、ハッピーになりすぎない中庸さを残した結末といい、作り手の単なる「良い話」にはしねーぞという矜持がバシバシ伝わってくる。
原作由来なのかもしれないが、心の声という名のナレーションが説明的すぎるきらいはあるものの、他の魅力がいい塩梅に欠点を補っている。主題はノルウェー映画「わたしは最悪」と通じるところもあり、お題目としてのジェンダー平等と個人の自意識を含めた現実との落差という意味でも時代性がある。

主演の深川麻衣はめちゃくちゃテクニカルなわけでも、華やかな主演オーラがあるわけでもないのだが、ともすると嫌らしさが先行しそうな自意識こじらせキャラをどこまでも自然に愛らしく表現しており、とってもいい。親友役の松浦りょうも素晴らしい。
たんたんめん

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