ハマジン

人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をしたのハマジンのレビュー・感想・評価

2.5
「元アイドル」も「おっさん」もわりとブラフで、フタを開ければ「30手前独身女性の人生と生活(特に金銭)の行き詰まり」というもっと普遍的な話だった。その意味で、バームバック&ガーウィグ『フランシス・ハ』(名前を手書きしたシールを新居の郵便ポストに貼るくだり。靴のヒールの顛末は奇しくも『バービー』と同期)や、ライカート『ウェンディ&ルーシー』(残金を手書きで紙に記すところ)などを先行作品として明らかにふまえている手堅い作り手だな、と思った(その路線を狙うにしては、いかんせんモノローグの分量が多すぎる不出来な脚本とも思うが)。
中心となるべき56のおっさん(井浦新)との会話より、仕事終わりの主人公への29歳のサプライズ誕生会を開く女友達との3人のやりとりのほうがずっと切実で感動的なの、作品全体のバランスとしてはどうかと思うがよかった。泣き笑いの「寿司食いて~」ですでにグッときたし、「しにたい」という気持ちをどうにか塗りつぶして「しあわせになりた~い!」と隅田川?にかかる橋の上で叫ぶ3人をとらえたカットが、ポンと引きの画になる瞬間には不覚にもうるっときてしまった。
にしてもシーシャ屋で惚れた男いくらなんでもクズすぎんだろ。
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