KnightsofOdessa

哀れなるものたちのKnightsofOdessaのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

[ベラ・バクスター、世界を知る]

2023年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品、金獅子賞受賞作品。ヨルゴス・ランティモス長編八作目。気色悪い設定と禍々しい色の空ということで実にガイ・マディンの香りがする映画なのだが、(昔の)ガイ・マディンなら半分の時間でもっと面白くできると思う。わざとらしくぎこちない動作、肩の爆発したトップスと半ズボンという重心が上に片寄りすぎてる衣装のアンバランスさは、まさしく"ギリシャの奇妙な波"の系譜にあり、その身体を、脳から身体の隅々まで染み渡らせるように自分の物として取り戻していくのはとても良い。良いからこそ、この題材なら前作以上に映像で遊ぶべきなのに、対角魚眼とアイリスショットしかないのは、流石に引き出し少なすぎだろ、と。ちょっと商業に寄せて日和すぎでは?あと、あのラストは正直気に入らない。あの流れならデフォーをアボットに入れるべきでしょ。デフォーだって自分の身体を取り戻して良いはず。ベラが復讐を望むとは思えない。
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