みぞみぞ

哀れなるものたちのみぞみぞのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

自分の好みのテイストの映画というわけでは決してなかったけど、
気持ち悪さえぐさのその奥に、確かに、力強く美しい人間賛歌があって、
ずっとドラマに説得力があったし最後は妙に味わい深い感動を味わえた。
人生丸ごと見た気分。140分全く飽きなかったな。

音楽と美術の寓話感が、脚本とマッチしてて良かった。


やっぱこういう映画は、見終わった後にずっと頭にこびりつくような良さがあるな。
ベラの感情一つ一つに常にリアリティとメタファーの両面があって、本当に良い設定だなと思った。
描写のクセがハマるハマらないを問わない普遍的な面白さがあるから、こんなに誰もに評価されるんだろうな。


にしても、こういう自分の意思で行動し失敗を経験しながら一歩一歩成長していく話は、男主人公ではもはやエモーショナルにならないくらい当たり前の過程なのに、
女性が主人公になるだけでこんなにも障害が増えてドラマチックになるんだな。なってしまうんだな。男の害悪っぷり。やっぱりこの歴史的な抑圧を差別と言わずしてなんと言うんだろう。
ただ、そんな男の描写も、
マーク・ラファロは愚かさと恋
ウィレム・デフォーは信念と愛
というピュアな部分をその悪の根拠としているところが、これまた人間賛歌的で良かった。
救い難き悪として用意されていた将軍はしっかり結末で帳尻の合う仕打ちを受けるし、全てのバランスが良い。全ての男性性に対するベラの落とし所の付け方が有り難かった。
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