ルッコラ

哀れなるものたちのルッコラのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
ランティモスの作品にしてはしっかりテーマと起承転結、因果関係がはっきりしていて見やすい印象。
「で?」
とはならない。
とはいえ、メタファや引用はおおい印象でシンプルでライトな作品ではない。
映像的な美しさ、話の面白さ、キャラクターの魅力と揃っているのでエンタメ性はしっかり備えている作品に仕上がっている。
同監督の作品では一番好きかも。


傑作ではあるけれども共感はあまりなかった。
女性ではないのが大きいのかな。



画面と衣装が最高だった。

全体的にブルーとグリーンによった色相と、明るく柔らかいちょっとコクのある色調。
特に肌の色とブルーの出方が本当に美しかった。
ポートラで撮った色のよう。


魚眼、ピンホール、広角を使った歪んだ画面。
ボケもかなりぐるぐるしていて、CGなのか疑うほどオールドな写り。
でもあの森で望遠で取ればああなるか。

陰影だけで絵がかける序盤と外の世界に出てからのカラフルさ。


悪趣味とも取れるCGでつくられた世界。
強い色彩とコッテコテの町並み、インテリア。
美しいけれども非常に露悪的に映る。



衣装もすごく良かった。
セシリーバンセンみたいなキルティングと、ボリュームが作るシルエット。
どの服も肩のボリュームすごかったのは女性版のパワーショルダーなのかな。
メンズもクラシックながら衣装のような華やかさがある。
あのサングラスほしい。




フランケンシュタインの花嫁 を予習しておいたほうがいいのかなとも思ったんだけど全然大丈夫だった。
引用とかもあるんだろうけど本質と関係なさそう。

ベラの女としての地獄めぐりみたいな感じで、「哀れなるものたち」を見て経験していく。子供の視点で進んでいくという意味では、例えばピノキオとか異端の鳥とかとも近しいのかも。
ヨルゴス・ランティモスらしくメタファとか読み解く要素は多いんだろうけど、自分の知性では拾いきれない。

グランドツアーという表現を見てたしかにそうだなと。時代背景的にもゴシックの生まれをみてもぴったり。



リスボンでは性、酒、食、という快楽と社会の規範を学ぶ
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