ソニア

哀れなるものたちのソニアのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ大好きな映画になりそう。
男と女、人と動物の対比がたくさん使われていて、「女性の自由」「人間の残酷さ」「生きる喜び」が主題なのかなと思う。

ベラはいい意味でも悪い意味でも素直で、たまに現状を指摘した鋭い発言をする。
「お金は呪い」「子供が命を落としているのに、私はこうやっていいベッドに横になる」

セックス・結婚については、「相手を選ぶ権利は常に男が持っているのがフェアじゃない」「結婚していても私がやりたいことをする」と言う。
フェミニズムの要素は予想してなかっだだけに衝撃が大きかった。セックスワークにおけるフェミニズムはよく語られるけど、女性への選択権であったり、尊厳の保証など、闇雲に廃止を主張するだけではないメッセージを感じた。

人間は残酷な獣 とハリーに言われるシーンがあるが、全体を通して、獣・モンスターという言葉は多用されていたように感じる。
最後の将軍は残酷さの権化のような男で、どうしても彼のみに敵意が向きがちだけど、性欲・支配欲のためにベラを連れ出したダンカン、死者への手術で人体実験ともいえる処置を行ったゴドウィンとそれの観察を行うマックス。登場人物皆残酷な要素を抱えながら生きている。誰もが「Poor thing…(可哀想に…)」と言われても仕方ない人達なのだろう。
セックスや食べることに夢中であった成長前のベラに対して、ハリーとマーサは人生の喜びはそれだけではないと教えてくれる。読書(勉強)で新しい知識を身につけることも喜びの一つだし、貧困・戦争などの社会問題にも目を向けていかねばならない。それを怠れば獣(≒未熟や子供)も同然ということがいいたかったのかな


全体を通して自然にベラが成長してゆく様が素晴らしく、エマ・ストーンの演技に脱帽した。というかあまりにも自然すぎて、演技の凄さに終わってから気づいた。

序盤にベラがWho is you?って言ってたの、言語発達が未熟な感じってことなのかな?なんか面白かった。

過去作を観てから行けたのもよかった。クロロホルムで眠るシーンや、動物のように振る舞うシーン、敷地内に監禁されてる点など共通する点が多かった。結婚式がいきなり始まるのも女王陛下のお気に入りを彷彿とさせてテンションが上がった。
やっぱり動物虐待のシーンはあるのか、と。
結局この人間の残酷さに繋がるのかと思うと妙にすっきりした。

あと、将軍の体に博士の脳を移植すれば丸くおさまったと思うの僕だけ?
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