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哀れなるものたちの鹿のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

好奇心、探求心の行き着く先は……。エマ・ストーンが成人女性の体で、脳だけが胎児から急速に成長していく過程をとんでもなくチャーミング、かつ、グロテスクに演じている。彼女がいるのは……ああ!ある有名な奇妙な絵画を思い出す。
画家の名前は…………何だっけ何だっけ……ボッシュ?検索したら、発音が色々あるみたいで……一番通りがいいのは、ヒエロニムス・ボス、のようだ。その画家の幻想的にして珍奇な世界を地獄を巡るように巡って、最後にはある種のユートピアにおさまる。創造主である神は去って行ったが、そこから生まれた様々なクリーチャーたちはそこにふさわしくあるようにつくりかえられて、妙にしっくりとおさまっている、ようだ。
だいぶ昔の話になるが、会社の同僚(女性)から上司(男性)に言い寄られて、困っていると相談された。成り行きで話し合いに立ち合わされたが、その男性はかなり妄想の世界に入り込んでおり、老後の幸せな光景まで夢に見ていた。うららかな春の日射しの中、妻になったその女性と縁側に座って微笑み合い、庭では犬になった鹿が駆け回っているというのだ。……かなりヤバくないか?全ての人が幸せでいられるように見えている状況って実は無理やり合わせているいびつなものなのかもしれない……なんて、ぼんやり考えながらショッピングモールを歩いていたら、カーペットと同系色のソファーに気付かずつまづいて、派手に転倒した。左手の親指をついてしまい、骨折はしなかったがかなり痛い。立ち上がって少し歩くと視覚と聴覚が鈍くなり、冷や汗が出てきた。マズい。前に指をケガして血圧が下がった時と同じ症状だ。メガネ売り場があったので、フラフラ入って行って店員に助けを求めた。「助けてください。気分が悪くて……」すぐに椅子に座らせてもらい、警備員が持って来てくれた車椅子で救護室に運ばれた。わりと早く回復して、タクシーを呼んでもらって無事に帰ることができた。いやもうほんっとうにありがとうございました!皆さんも、この映画の鑑賞後は身体は成人でも脳はまだ歩き始めたばかりの赤ちゃんなんだから、足元に気をつけてお帰りください。
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