ひでG

哀れなるものたちのひでGのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
いやあ〜面白かったです。「面白い」は、たくさんの意味を持っている褒め言葉ですが、この面白さは、映画(物語)が常に私達の先、先に進み、それを必死に追いかけて、追いかけている途中に見たことのない風景や感じたことのない空気感を味合わせてくれる、そんな面白さだと感じました。

そんな面白さの中でも、「聖なる鹿殺し」や
「ロブスター」は、「どこに連れて行かれるんだ?!」て、疑心暗鬼の乗車で、目的地に着いても、きょとんとしてしまう自分がいましたが、
本作は、豪華列車で乗り心地も良く、「どうせ、今回もミステリーツアーだし、多いに車窓の風景も楽しんでやるぞ、って乗る前から気構えはできていました。😅

大人の絵本って、こんな感じなのかな。

ハリウッドや最近のアニメ原作の劇画邦画でCGは、偽物を本物に近づける画面作りをし続けていて、それがもう見飽きたと思うことも多いのですが、この映画でのCG画面はそれらと全く異なりました。
つまり、偽物、作り物感をあえて満載に出し、「これは御伽話ですよ!みなさん!」って高らかに宣言しているみたい。
豪華船とか、停泊した町、長い階段を降りて行く場面とか、この世のものではないヴィジュアルは本当に凄いです。

画面と言えば、ヨルゴス・ランティモス得意(特異)の魚眼レンズ。どこか見せ物小屋から覗いている感覚も相変わらず、面白いです。

ストーリーについて思ったこと。
町山さんもラジオで話されていたように、これはフランケンシュタインの女性版。
幼児の脳を埋め込まれた身体は大人の女性ベラ。
何でも口に入れ、すぐ吐き出す。会話はおオウム返しと「何?」「何で?」の質問攻撃。歩き方も身体とのアンバラスでぎこちない。これってどう演じられるの、オスカー女優が幼児にしか見えない。
知識や社会性を身につけていくスピードや順番がかなり狂っている。
食欲や食事への知識と当時に性欲への関心も進んでいく。
身体は大人、認知機能はまだ子ども。
性描写、オールヌード(よくオスカー女優がここまで、、しかも、あの大好きな「ララランド」のミアが、、正直最初は複雑な気分だった💦)が、それほどエッチな感じを受けないのは、エマ・ストーンの大きさなのかもしれませんね。

ベラを作ったゴドウィンや彼の弟子(簡単に言うと)マックスは、ベラが外に出るのを反対しますし、彼女を誘拐し、性のおもちゃにしたダンカンは、ベラを束縛します。
しかし、彼女は知識の獲得により、その束縛から抜け出していき、周りの男性を一気に抜け去っていきます。
娼婦に落ちると言う概念もベラには当てはまりません。それも経験であり、冒険としと、次のステップの糧にしていきます。
強さとしなやかさ、賢さも兼ね備えてた
素晴らしいレディに成長していきます。
無から勇を、死から生を、
ベラの生き様に、束縛や管理に囲まれた人にはない生き方を学んだような気がします。

141分は、いろんな意味の面白いと刺激で
あっという間でした。
咀嚼できないところもありましたが、ヨルゴス・ランティモスの(中間的)まとめの一作なのかな、とも思いました。

PS、今回の動物、ラストのあれは、ちょっと悪ノリかな?
ひでG

ひでG