しゅん

哀れなるものたちのしゅんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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マジ面白い。動物と人の境、養子関係、幽閉と解放、魚眼レンズの駆使。ヨルゴス・ランティモスが『ロブスター』『聖なる鹿殺し』『女王陛下のお気に入り』で試してきたことがエンターテイメントとして実を結んでいる。脚本素晴らしいし、美術・衣装もエマ・ストーンも最高。

ランティモス、『ロブスター』あたりは微妙だったのだけど『女王陛下のお気に入り』で進化したと思う。過去と現在の違いを浮き彫りにする時代物(今回のは半分SFだけど)はランティモスに合ってる。前作と同じ主演女優、脚本家、撮影監督なのもたぶんよかった。Pixies、Cocteau Twinsを思わせる4AD的美術が、グロテスクな物語を的確に彩る。光の扱いやショットの弱さに不満はあるものの、それを凌ぐ面白さ。

そして、ハンナ・シグラの登場で、この映画がファスビンダーの系譜にあることを知らしめる。エマ・ストーンがシグラを引き継ぐ映画として、本作を観ることもできる。
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