TakayukiMonji

哀れなるものたちのTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
「女王陛下のお気に入り」は”らしさ”はブレてなかったけど突き抜けきってはいなかったヨルゴス・ランティモスの新作。期待しすぎないようにしていたけど、そんな心配はいらないくらい凄まじいほどの鬼才ぶりを発揮していて、最高だった!!圧倒されるとはこういうことだな。

(原作は未読だけど、原作も魅力的らしいが)主人公ベラに隠された設定がすごい。フランケンシュタイン的に閉じ込められて生活していたベラがまだ見ぬ世界を見て、成長して、自らの意志で、自らのアイデンティティを確立させていく、女性の物語。わかりやすくセクシャリティや女性の社会的制約というテーマもそうだけど、そこから踏み込んでこの世界の真理(生きること、知的さや倫理観とは何か、外界からの影響、情報化社会について、など)を問いかけてくる。最後まで、社会風刺がセンス良く効いていて、強烈なブラックユーモアたっぷりのエンタメ作品として、楽しませてもらった。そうそう社会風刺ね、と終わらせない魅力があって、最後まで惹きつけられた。監督の過去作「ロブスター」とか、「聖なる鹿殺し」などと同様に、人間のいやらしい真理を突いてくる構成で、めちゃくちゃ心を抉られた。
ラストシーンで、思わずプッとなった。
また、時代設定は明確にされていないが、仄めかしつつもおとぎ話的に、SF空想的な設定がまずよくて、それを体現するような衣装デザインも素晴らしい。映像も最後まて美しくて没入感がすごい。

エマ・ストーン、すごい。
この難しい配役を見事に演じ切ってた。最初と最後の演じ分け!
デフォーも相変わらずの存在感。

ファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラが出てた!「不安は魂を食いつくす」を彷彿とさせる感じもたまらんね〜。
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