たくみ

哀れなるものたちのたくみのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
【まずは4ストローク】
めっちゃ変で、且つアカデミー会員が好きそうな映画。
奇怪で難解な物語なのになぜか最後まで楽しめた不思議な映画。
SEXシーンかなり多めですし、はっきり言って美しいものではないので苦手な人は避けた方が良いかもです。
以下ネタバレ全開ですのでお気を付けください。



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女性版『フランケンシュタイン』って感じなんですかね。
かなりフェミニズム的に描いていると思います。

終始男性が空虚な存在として描かれているので、亭主関白昭和親父がみたら発狂もんでしょうね。
だいぶ偏ってはいるなと感じましたが、女性の強さってこんな経験をしたからこそ培われて行くのかもと思うと興味深いものではありました。

女性が自ら動いて自立していく物語。
権利をよこせよこせと叫ぶだけでなく自らの考えのもと行動し、何者かになろうとしていく姿がとても凛々しく格好よく映されてました。
社会勉強のために冒険をして色んなものに触れて様々な人々と議論して成長していく。

それを促したゴドウィンの親としての愛情が良かったですね。
最初はド畜生マッドサイエンティストかと思ったんですけど、終盤は父の顔でしたね。
この演技が出来るウィレム・デフォーが素晴らしい。

また、それを利用しようしたマダオ(まるでダメなおっさん)、マーク・ラファエル。
俺らのハルクがただのスケベ親父でしたよ。(褒めてる)
妙な色気はあるんだけど、だんだん情けなくなっていくマーク・ラファエルの演技も注目です。

個人的には船で出会ったおばあ様が好きでした。
ああいう感覚を持った大人になりたいものです。
幼い者の好奇心を否定するのではなく、きちんと向き合う。
簡単そうで中々出来ない事だと思います。

パリのシークエンスは飛び切り女性賛歌的な描かれ方がされていると感じました。
無一文でパリに訪れたベラとダンカン。
ダンカンは嘆くだけだがベラは稼ぐ方法を探し、娼婦の世界に飛び込む。
行動し続けるからこそ周りの人との触れ合い、学びがあり成長していく。

吸収→比較→選択をすることで大人になっていく彼女の最後の選択が愛する父と同じ医者になる事。
さっそくド畜生マッドサイエンティストの片鱗を見せていましたがどんなお医者さんになるんですかね。
あれって一応整形外科になるのかな。

アカデミー賞では主演女優賞と美術賞は獲ってほしいな。
エマ・ストーンの正解のない演技ほんとに凄かったです。

【その他メモ・独り言】
・あんなに見づらいエンドロール初めて。
・あれがほんとの性教育。
たくみ

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