フィクションは、ノンフィクションより訴求力があることを知らしめる作品。脳を移植された人造人間は、キカイダーにおけるハカイダーのように「記憶」「心」つまり人格ごと新しい体に宿るのだが、これは違う。
鉄腕アトムのように、心も成長していく。それを、エマ・ストーンが身体の動きや表情でもっともらしく演技する。
そもそも、こんな設定の映画などほとんどないので、すばらしいに決まっている。また、「体当たり」という言葉が霞むほどの熱演だった。ヌードを披露したり、叫んだりすると絶賛される日本のパターンとは大違いだ。
そして、寓話性。言葉とは、思考とは、成長とは、金を稼ぐとは、貞操とはなど多様なテーマで疑問を投げかけ、自立に至る。
グロテスクで、奇っ怪な物語なのだが、惹きつけられ感動する。
セットも、ちょっと変なファッションもすばらしい。
ヨルゴス監督、変態路線もここまでくれば見事なものである。