あざとさ

哀れなるものたちのあざとさのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

総合的な感想としては、知的な映画だけどコミカルな演出とポップな視覚も相まって気軽に観られる「ファンタジー」。
独特の世界観は良かったけど、私的にはちょっとスノッブな感じが鼻に付く作品だった。

性的描写は多いけれどエロスはほとんどなくて、もうちょっとエロくても良かった気がする。途中少し味付けはあったものの、最後までロジックとしてのSEXだった。
ベラは熱情に溺れるようなSEXをする事は一生ないんじゃないかとか妄想。

女性主人公が尊厳を確立していく物語の中で、笑えるシーンはほとんどが性的シーンやセリフで、それが男性側の性癖面や男性特有のバカさをいじったネタだったりするので、ジェンダーも遂に行くとこまで行ったのかなぁって考えちゃいました。
これ、世間の男性はどんな気持ちで観るのかな。

ラストに関して、
哲学的な意味での身体性が作品テーマなのかと思うけど、それを重視して成長した主人公がラストは極めて今風な身体性の欠如=可視化されないものへの無配慮へ堕ちている。
(そういえばそういう話黒人青年からもあったよね)
感情的に言えばクソのつくサディストである元旦那の結末(いい気味だと思ってしまう演出自体がほぼ罠)とそれを取り巻く登場人物を俯瞰してみせるラストカットはシニカルだなぁと感じた。
今旦那とか立ち位置ほぼ使用人じゃん。
一旦の結論として「身体的にも精神的にも自立した自己」と「それを中心に成り立つユートピア」が完成していて、その中に社会主義運動を進める友人がいるってところがなんとも風刺的に見えてしまうのは勘ぐりすぎ?

ダンカンみたいな男も可愛げがあっていいと思うし「愚かだが、故に人間的」だとおもうけどなぁ。
演技が素晴らしかったエマ・ストーンは主演女優としてオスカー最有力でしょうね。
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