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哀れなるものたちのappleのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

社会的規範や偏見という監獄の外にいるベラの成長と自己の確立
私達の当たり前など彼女にはお構いなしで、全てを吸収して、咀嚼して、新たに自分の一部としていく姿は魅力的でどこか脆くて目を離すことができなかった。
身体も心も自分のものであり、それをどうするかは自分に委ねられている。
女性は性を切り離されて考えられがちだけど、女にも性はありそれを抑圧することはできない。性もやさしさも含めて女なのだ。
フェミニスト映画というよりも、純粋無垢の赤ちゃんが色々な人に出会う中で成長した結果フェミニストになっただけで女性解放を謳っている訳ではない様に感じた。
好奇心をやめた方が楽なのはそうだが、彼女は世界の辛い部分も含め、生に一番魅力を感じている。

衣装も見ていると、彼女の成長に合わせていて楽しかった。最初の衣装はふわふわの赤ちゃん。実際にベビー服の素材等を使ったらしい。でも子供なのですぐに脱いでしまう。
ロングドレスが当たり前の世の中で彼女は肌を見せ、髪も縛らない。
パリについてからの彼女は社会規範に収まってみたりもしている。
社会主義思想に染まってからはもっぱらオールブラックのワンピースやドレス。
フリフリの装飾は無くなってしまった。
衣装やメイク、髪型までそういう意識を向けることは素晴らしいというか、圧巻。
勿論セットも美しくて、スチームパンクのSFさがあった。
音楽は見事なアンビエント...bellaという曲はボヨンボヨンの音で最初の彼女にピッタリ。
エマストーンがさらに好きになった。
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