クリーム

哀れなるものたちのクリームのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1
ランティモス監督にしては、解りやすい内容だった。美しい映像の世界と衝撃度の強い描写の融合が絶妙でした。
発想もらしさ全開で楽しかったです。
しかし、やっぱりエマ·ストーン!
難解な役なのにパーフェクトだったと思います。大人の女性の身体に赤ん坊の脳。正解を叩き出したと思います。良く引き受けたなとも思いましたが(笑)。いやらしさは感じ無かったけど、SEXシーンが多いので、注意が必要です。
ただ、闇深い心理がもう少しだけあったら、私はもっと嬉しかったですが…。

医学博士ゴドウィンの屋敷に言動が赤ん坊なベラと言う女性がいた。医学生のマックスはゴドウィンの助手になり、ベラを観察する事になります。ベラは楽しそうにしていたり、癇癪を起こしたり、そのうち、自分の肉体に興味がわき、本能のまま自慰行為に耽ります。ゴッドウィンの薦めでマックスはベラと婚約するのですが…。



ネタバレ↓



マックスは、ベラが自殺した妊婦で、彼女のお腹の赤ん坊の脳みそを移植して蘇生されたと知ります。
法律家のダンカンと出会ったベラはゴドウィン達の許可を経て、世界を見る為、一緒に旅に出ます。
まずは、ポルトガル。2人はそこでSEX 三昧。倫理観などないベラは、ダンカン以外の男性ともSEX三昧。ベラに惚れてしまったダンカンは嫉妬する。
そして、ベラ達はクルーズ船へ移動。マーシーという老婆やハリーと知り合う。 ダンカンに飽きたベラは、マーシーから借りた本を読みまくります。停泊地で赤ん坊が沢山死んでいる貧民街を見たベラはショックを受け、ダンカンがギャンブルで儲けた大金を彼らに渡す様に船員に頼むが、船員は持ち逃げ。ベラとダンカンは無一文になり、フランスで船を降ろされ、パリへ到着した。 ベラは娼館を営むスウィニーと知り合い、性行為をして金を稼いだ。 それを知ったダンカンは激怒。ベラはダンカンと別れる為、金を渡した。ベラはその後も多種多様な嗜好を持つ男達を相手に金を稼いだ。
ダンカンは嫉妬で狂い精神病院へ。
マックスからゴドウィンが病気で長くないと手紙を貰い、ロンドンに帰国。
ゴドウィンから、自分の素性を教えられました。ベラはマックスと結婚。結婚式にダンカンがアルフィー大佐という男を連れて来た。ベラの生前の夫で、ベラはアルフィーについて行き、生前の事を知る。アルフィーはDV男で妊娠した彼女は、自分の子をモンスターだと思うようになり自殺したらしい。 アルフィーがベラの性器の一部を切除しようと襲って来たので、ベラはアルフィーを撃ち、ゴドウィンの屋敷に連れて帰ります。
ゴドウィンはベラとマックスに見守られながら亡くなった。 ベラはマックス達と一緒に暮らし、医師を志し勉強していた。 ベラの手によって羊の脳を移植されたアルフィーが、草を食べ、メェ~と鳴いている。おしまい。

脳ミソを刻むシーンや犬と鳥の合体作品等、奇抜な映像もあるのだが、世界観や映像がとても美しくアートを観ている様だった。内容も大人の女性に赤ん坊の脳が入り成長して行くと言う斬新さ。本能のまま成長し、次第に勉強する事が楽しくなる様は、納得行く展開で面白かったです。歩き方やアンバランスな心と思考を見事に表現したエマ·ストーンの演技は本当に素晴らしかったです。
私が好きだったのは、ラスト。ゴドウィンの脳ではなく、羊の脳をアルフィーに移植したセンス。ランティモスらしくて最高でした。
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