がらがら

哀れなるものたちのがらがらのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
頭の中を掻き回されるような強烈な映画体験。

大人の女性に赤ん坊の脳が移植されたベラの無垢な視点を通して女性の自由について描かれる。昨年の『バービー』とはまた違った角度のフェミニズム映画。

幻想的で美しい美術や衣装、耳に残る独特な音楽、序盤の白黒映像からレトロでポップな可愛らしい雰囲気の映画と想像していたら、過激な性描写たっぷりでしっかりR-18指定を受けてる作品だった。濡れ場が多いからといって男なら喜ぶエロさがあるかというと、男だからこそ拒否感が出るような性描写も多い。

映画における濡れ場ってノイズに感じてしまってあんまり好きじゃなかったんだけど、今作の濡れ場にはちゃんと意味が感じられたのが嬉しい衝撃。

大人の美しさの中に少女の幼さを持つベラに惹かれていく男たち、中身は子供なのにヤバいだろとドン引きしながらも惹かれる気持ちも分かる。それだけエマ・ストーンの魅力が爆発しているし、女性の中身が幼い分には男はあまり気にしない場合が多いっていう特性もある気はする。

ベラが遊び人に誑かされて旅立つ展開や、その後ベラが働き始める仕事など、男からするとかなり抵抗があってベラの行動に怒りを覚える男たちに共感していた。でも冷静に考えるとベラの行動にはなんの問題もなくて、自分の中の常識や価値観で勝手に善悪を判断していたことに気付く。

これはまさに人類を進歩させる映画。
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